4D Write Pro:電子インボイスの作成

4D V20 R4 では、電子インボイスの生成を可能にする、エキサイティングな 4D Write Pro の機能を導入しました。

そもそも電子インボイスとはどういう何でしょうか?

電子インボイス (e-invoice) は、電子的に生成・送信・受信・保存され、より効率的で環境に優しい形でビジネス取引を管理することができます。

多くの利点がある一方で、主にその生成手順の複雑さに関わる電子インボイス特有の制約もあります。しかし、4D Write Proを使用することで、当初考えられていたよりもはるかに電子インボイスが扱いやすいことが分かってきました!

HDI: 4D Write Pro: 電子インボイスの作成

なぜ電子インボイスなのか?

電子インボイスは、PDF (今回使用するもの) のほかにも、さまざまなデジタル形式を取ることができ、オンラインポータルや CRM などを介して送信することができます。その処理は自動化することが可能で、管理に要する時間、ヒューマンエラーのリスク、印刷の必要性、物理的な保管スペース、環境への影響などを低減することができます。
また、人間でもコンピューターでも読むことができるため、インテリジェント・フォーマット または ハイブリッド・フォーマット とも呼ばれています。
また、これは今後数年のうちに、世界中の国々 (ヨーロッパでは Factur-x)、特に政府関連のあらゆる事柄で必須となるフォーマットでもあります。

 

4D Write Pro と Factur-X/ZUGFeRDフォーマット

4D Write Pro では、すでに PDF形式のファイルを作成することができ、4D v20 R3 からは PDF/A2 および PDF/A3形式のファイルも作成できます。電子インボイスでは、外部ファイルを統合できる PDF/A3形式が使用されます。電子インボイスの場合、必要な外部ファイルは XMLファイル1つだけです。複数のファイルを統合する場合は、この XMLファイルが最初のファイルでなければなりません

まとめると、PDF/A3 + XML = Factur-X (フランス) / ZUGFeRD (ドイツ) は、 4D Write Pro によってワンステップでおこなわれます!

 

XMLのコンテンツは?

Factur-X / ZUGFeRD の XMLファイルには、売り手と買い手の詳細、請求行、金額、税金など、インボイスに関する構造化された情報が格納されています。
MINIMUM、BASICWL、 EN 16931BASICEXTENDED などのヨーロッパ標準テンプレートが一般的です。
“カスタム” フォーマットも使用できますが、その検証 (後述参照) は明確ではなく、使用は制限されます。

これらのフォーマットに関する完全な情報については、fnfe-mpe.org の Webサイト https://fnfe-mpe.org/factur-x/factur-x_en/ を参照ください。

 

Factur-x / ZUGFeRD を作成するには?

電子インボイスは、何よりもまず、新しい情報が含まれた PDF であることを忘れてはなりません。PDF出力のための既存の属性に 2つの新しい属性が追加されました。

まず、”facturx” 属性

属性 facturX は、任意の属性を 2つだけ含む オブジェクト です。
つまり、たとえ空であっても、このオブジェクトが存在するだけで、有効なFactur-X / ZUGFeRD 文書を生成することができます。

$options:={}
$options.facturX:={}
$options.facturX.profile:="BASIC" // 任意 (渡す場合は、最初のファイルの XML内容と合致しなくてはなりません)
$options.facturX.version:="1.0" // デフォルト値

次に “ファイル”

PDF/A3文書には複数のファイルを含めることができます。そのため、files 属性はオブジェクトのコレクションであり、各要素は格納されるファイルを記述します。

各要素は、対象ファイルの機能に応じて異なる属性を持ちます。電子インボイス (最初のファイル) の場合、ほとんどの属性は任意ですが、XMLの内容を指定するための data 属性 (テキスト) または file 属性 (4D.File) のいずれかは必須です。

注記:
XML は事前生成され、規格の要件をすべて満たしている必要があります (HDI のデモでは、BASICプロファイルに基づいた XML の作成例を示しています)。4D Write Pro は XMLファイルの内容をチェックしませんので、Factur-X / ZUGFeRD の電子インボイスに挿入する前に、XMLファイルを必ず検証してください。

$xmlFile:={} // 最初のファイルオブジェクトを作成します
$xmlFile.name:="factur-x.xml"  // デフォルト値
$xmlFile.description:="Factur-X/ZUGFeRD Invoice"  // デフォルト値
$xmlFile.mimeType:="text/xml"  // デフォルト値
$xmlFile.data:=$xmlText  // 有効でなくてはなりません。4D によりチェックされません
$xmlFile.relationship:="Data" // デフォルト値

$options.files:=[$file]  // 追加のファイルを統合することができますが、最初のファイルは必ず facturX/ZUGFeDR です

$xmlFile.data の代わりに $xmlFile.file を使うこともできます:

$xmlFile.file:=$xmlFile // ディスク上の有効な xmlファイル

 

オンラインバリデーション

前述の通り、4D Write Pro はコンテンツのバリデーションをおこなわず、構造のみがチェックされます。そのため、代わりにオンラインバリデーションを使用します。最も信頼できるのは veraPDF (https://demo.verapdf.org) および fnfe-mpe.org (https://services.fnfe-mpe.org/account/home) のようです。後者は XML そのものの検証と、完全なインボイスの検証が両方できるという利点があります (完全な例は HDI 参照)。

 

まとめ

この新機能は、近代化要求の高まりに応え、法的・管理的要件を満たします。

汎用テンプレートと、正しい形式の XMLを生成するメソッドのおかげで、電子インボイスの連続生成はとても簡単です。

最終的に最も厄介なのは、様々な利用可能なプロファイルの中から選ぶ過程かもしれませんが、多くの場合、用途によって選択が決まります。

4Dフォーラムで、この新機能に関するフィードバックやご意見をお聞かせください。

機能に関する詳細については マニュアル を参照ください。

Roland Lannuzel
- プロダクトオーナー&4Dエキスパート -電子工学を学んだ後、産業用ITの分野で開発者兼コンサルタントとして、さまざまなデータベースやテクノロジーを使って顧客のためのソリューションを構築。80年代後半に4Dに惚れ込み、会計、請求書作成、メールシステムなどのビジネスアプリケーションの作成に4Dを使用してきました。現在も、新機能やデータベース開発ツールの定義など、4Dの未来を積極的に切り開いています。