Windows での印刷プレビュー用の PDFフォーマット

PDF形式は、Windows上で印刷プレビューをおこなうための XPS に代わる有効な選択肢で、ユーザーにとってもより身近なものです。Microsoft が XPS Viewer を Windows のオプション機能としたことで、アプリケーションの運用上の問題が多く発生し、エンドユーザーが印刷物をプレビューできない状況が発生しました。無償の XPS Viewer のインストールは簡単ですが、管理者の中には、(リモートデスクトップ環境においてはとくに) 追加機能のインストールを躊躇する方もいます。
幸い、4D v20 では、印刷プレビューにPDFフォーマットを使用するオプションが用意されています。現在の Windows のほぼすべてのバージョンで XPS または PDF がプリインストールされているため、印刷プレビューの問題にエンドユーザーが遭遇することはありません。この新しいオプションは、エンドユーザーと管理者の両方のニーズを満たす、より柔軟で効率的なソリューションを提供します。

機能の使い方

Windows の印刷プレビューで PDFフォーマットの恩恵を受けるには、何もする必要がありません!

4D は、XPSプリンターと XPSビューアーがシステム内にあるかどうかを検出し、ない場合は、自動的に PDFフォーマットに切り替えます。
PDFプリンターやビューアーがない場合は、印刷ダイアログの下部にある印刷プレビューのチェックボックスの代わりにメッセージが表示されます。また、印刷ダイアログを表示しない選択している場合には、エラーが発生します。

XPSフォーマットには、プリンター設定の埋め込みなどの利点があるため、XPS を PDF に置き換えてはいません。

機能の管理

すべて自動化されてはいますが、動作を管理することも可能です。

4D v20 では SET PRINT OPTIONコマンドは、新しいセレクター Print preview option をサポートしています。これにより、印刷プレビューで自動アルゴリズムを使用するか、使用するフォーマットを XPS または PDF に強制するかを指定できます:

SET PRINT OPTION(Print preview option; kp preview automatic)
SET PRINT OPTION(Print preview option; kp preview XPS)
SET PRINT OPTION(Print preview option; kp preview PDF)

GET PRINT OPTION も、新しい Print preview option をサポートします。このコマンド使用した場合、設定しているオプションを第2引数に、実際に使用されているオプションを第3引数に返します。
この第3引数への戻り値は、印刷プレビューの起動前に設定に問題がないかをチェックしてエラーを避けるのに便利です。たとえば、kp preview PDF を指定したのに PDFプリンターやPDFビューワーがない場合、この引数は kp preview none を返します。システムにより実際に使用されている印刷プレビューフォーマットを確認するためのサンプルコードです:

SET PRINT OPTION(Print preview option; kp preview automatic)
GET PRINT OPTION(Print preview option; $optionSet; $optionUsed)
Case of 
 : ($optionUsed=kp preview XPS)
  // XPS フォーマット
 : ($optionUsed=kp preview PDF)
  // PDF フォーマット
 : ($optionUsed=kp preview none)
  // 印刷プレビューは使用できません
End case 

なお、macOS では印刷プレビューのフォーマットは常に PDF であるため、この新しい動作は macOS に影響しません。

印刷プレビューの PDFフォーマットオプションは、アプリケーションのユーザー体験を大幅に向上させると確信しています。この新しいオプションを提供することで、エンドユーザーのアプリケーション機能への満足度を高めつつ、デベロッパーの貴重な時間と労力を節約することを目的としています。

私たちは、ユーザーに最高の体験を提供できるよう常に努力しており、4Dフォーラムにあなたのフィードバックを投稿することをお勧めします。あなたのフィードバックは、あなたのニーズをよりよく理解し、製品とサービスを改善し続ける助けになります。

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- プロダクトオーナー - Damien Fuzeauは、2019年2月に4D Productチームに参加しました。プロダクトオーナーとして、ユーザーストーリー(ユーザーが期待する新機能とその使用法)を書き、それを具体的な機能仕様に変換することを担当しています。また、実装された機能が顧客のニーズを満たしているかどうかを確認することも彼の役割です。ナント大学のソフトウェア工学科を卒業。前職の会社では最初は開発者として(1997年に4Dを発見)、後にエンジニアリングマネージャーとソフトウェアアーキテクトとして、23年以上勤務しました。この会社は、4DのOEMパートナーであり、現在は数千のユーザーと数百のサーバーに向けて4Dベースのビジネスソフトを展開しています。ですから、Damienは、多言語環境での4D開発・導入に慣れています。